スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

◆ 茨城県診療センターにて ① ◆

「茨城県診療センターにて」




☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



夫(榮治さん・41歳)へのAWG照射を始めます……
と妻の笙子さん(37歳)から連絡が入ったのは、5月下旬でした。

榮治さんは、さるマガジン(雑誌)出版社の営業マン。
出張先の水戸市で倒れたのは、今年1月もまだ松の内。

顧客接待中の出来事でした。


飲酒中、トイレに行ったっきり戻ってこないので、
見に行くとタイルに頭をぶつけて転倒したのか、
榮治さんの頭皮が破れ、傷口から出血していました。

手を貸すと、
「すみません。」と意思表示があって、起き上がった。


「単に頭を打っただけのようです。」

ふらつきながらも気丈に立ち上がった榮治さん。
自力歩行でトイレから出ました。

じつは頭蓋が割れ、
硬膜外出血していた
のですが、
気づく者がいないまま、ひとまず大事を取り、ホテルに戻りました。


異変が発覚したのは、翌朝でした。

電話への応答がなく、同僚が部屋に入ってみると、
榮治さんは意識不明の昏睡状態でした。

救急車でセンターに搬送された榮治さん。
脳外科専門医の診断は
『脳内ヘルニアからの起因による脳梗塞』。


緊急開頭手術を終え、
「脳内の出血は出来るだけていねいに、取り除いておきました。」
と担当医師。

来院が遅すぎた、
転倒直後の搬送なら軽度の症状で済んだのに……
と残念な表情でした。


かけつけた家族の前に
人工呼吸器をつけたまま
ベッドに横たわっている
榮治さんの姿がありました。

重度の右半身マヒです。



☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ( … 続く ) ☆ ☆ ☆ ☆ ☆





スポンサーサイト

◆ 茨城県診療センターにて ② ◆

「茨城県診療センターにて」




☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



人工呼吸器を、見たことがありますか?

のどに穴を開け、チューブを気管奥に差し込む。
外からコンピュータ制御で酸素を入れる。
痰がつまると、モニターで察知したナースが来て、
痰を吸い取ってくれる。

意識不明、自力呼吸がおぼつかない患者に施される緊急措置です。

気管に管が入っているため、声が出ません。

昏睡状態のまま、ベッドにはり付けとなって。
一ヶ月あまりで意識は戻りましたが、意思表示が出来ません。

右半身はマヒし、腕も足も蒼白。
左目は開いたまま、瞳孔はどんよりと力なし。

真夜中の睡眠中、呼吸器を外そうとするため、
両手は拘束バンドで固定されています。

その姿に、妻 笙子さんは胸がつまりました。

しかしどうしようもありません。
ただただ体力回復を待つ以外なし。

病院は「打つべき手はすべて打った。」と説明しました。

しかし、
梗塞を起こし、壊れた組織や神経は、
元には戻らない
と。

では、退院後の社会復帰はだめなのか?


寒い時期の入院です。
4月に入り、榮治さんが肺炎を起こし、熱発していた……
と病院から連絡が入りました。

笙子さんは、病院のソーシャルワーカーを通し、
医師に抗議しました。

なぜ、事後連絡なのか
と。
院内での感染症は、処置に不手際があったからではないかと。

どうやら、病院側の判断で、夜間に人工呼吸器を外してみた。
それが原因のようだと推測がつきました。

小さなトラブルでしたが、これが担当医師との
コミュニケーションのパイプが生まれるきっかけとなりました。


この間、笙子さんは知人の女性心理学者から、
俊爺著『AWGは魔術か、医術か?』を紹介され一読、
「この医療器具で(夫は)本復するのではないか」
と直感したといいます。

しかし、磁力線がコンピュータ・システムに作用するため、
呼吸器を装着している間は照射できません。

医師にAWGのことを言い、
「人工呼吸器が外れれば、照射してやりたいのです。」
と、訴えました。
おそるおそるの訴えでした。


ふつう、
医師は院内への治療器具や薬品の
持ち込みを嫌がります。


自分たちの医療技術、措置判断に誇りを持っているからです。
外部から持ち込まれた器具で、容態が悪化した場合を警戒します。

けんもほろろに断られるだろうと、笙子さんは覚悟しました。

しかし、センターの医師は偉かった。
患者の妻の訴えに、じっと耳を傾け、
「病院としては、なすべき措置はやっています。」
ときっぱり。

口調は断固としていましたが、
「お断りします」の言葉はなかった。


「それなら退院してもらいます。」の強圧的もの言いもなかった。
暗黙の了解、大英断です。

笙子さんは医師に感謝しました。


ナース詰め所の記録では、
榮治さんが初めて食べ物を口にしたのは、4月26日。
1日1個のゼリー。

ミキシングしたおかゆを口にしたのは、5月7日。
このころから少しずつ体力が回復しはじめました。


倒れて5ヶ月の月日が経過しました。
「昼間だけ、人工呼吸器を外します。」と連絡が入り、
照射開始は5月下旬と決まり、俊爺の出番となったのです。

初日から丸一週間の期限で、密着取材が始まりました。

初めて対面した榮治さんは、頬の肉がそげ、
動かぬ右足の筋肉がガックリ落ちていました。

身長171センチ、体重56キロ。
ふだんからスリムな体型が、さらにやせっぽちに。

顔面は蒼白。
声が出ないまま、さかんに唇を動かしますが、
何を言っているのか、聴取不能。
大きな目が力なく宙をさまよっています。


動く左手の仕草で「ボードを取ってくれ」。
枕元の小型黒板をかざすと、左手で文字を書こうとしますが、
字だか線だか不明のミミズがのたくるばかり。

10分かかってようやく分かったのは
「妻はどこにいますか」

これが俊爺への第一声でした。

「いま、病院の中のコインランドリーに、洗濯をしに行っていますよ。」
と俊爺。

再び不明のミミズがのたくり、とつおいつ、すがめつ、
分かったのは「いつ帰りますか」

「何かして欲しいことはありますか?」と大声で聞くと
「×○◇……」。

ミミズ登場。

15分後、やっと分かったのは「羊羹が食べたい」でした。

これが通じ合ったときの、俊爺のいや嬉しかったこと。
榮治さんも嬉しいらしく、照れくさそうな笑みが浮かんでいました。

大の甘党だったのです。

人間、わかり合うには時間がかかる……俊爺の実感です。


笙子さんは、2つのコード番号を選びました。
1つは身体のアルカリ性、酸性のバランスを調節するコードです。
もう1つは免疫向上のコードです。

身体の倦怠感を軽くしてくれます。




☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ( … 続く ) ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



◆ 茨城県診療センターにて ③ ◆

「茨城県診療センターにて」




☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



照射開始の榮治さんの体温は36.8度。
微熱が出ていました。

ナース・ステーションのデータでは、
4月の肺炎治療以来、ずっと微熱だとのこと。

2つの照射コードを試したあと、
笙子さんは「ウィルス性疾患」のコードをかけました。

肺炎のタネがくすぶっていると判断したのです。
続いて、片マヒのコード番号です。


3種のコード照射で午後3時。
榮治さん待望の、おやつタイムです。

笙子さんの掬いとる水ようかんを、
待ちかねるように舌先で受ける榮治さん。

「甘いものはなるべく控えた方がいいのよ。
 おいしい?
 そう、おいしいわねぇ。」
と言いながら、少しずつ与える。
もっと欲しいとせがむ榮治さん。

あぁ、夫婦なんだなぁ……と俊爺。


「脳卒中」のコードをかけ終わった直後。
俊爺は視線を感じました。
榮治さんの視線を。

おや?と思いました。
開いたままどんよりと宙をさまよっていた左目に
力が宿っているのです。

「奥さん、目を見て……
 俺の気のせいかなぁ。」

 「あら!
  左目がきれいな色になってるわ……
  あなた、ハンサムなめになったわよ!」

笙子さんは顔を近づけ、目の奥を覗き込みます。

「それに、顔の色見て下さい、
 微かではあるが、上気してるんじゃないか?」

 「あら、本当……
  首筋も赤くなりはじめているわ。」

しげしげと喉からあごをさすり、
いいぞ、いいぞ、エイちゃん!とエール。

あぁ、夫婦なんだなぁ……と俊爺。

笙子さんの表情が、輝いていました。
半年間の顔面蒼白が、顔面紅潮へ。

1日目のAWG照射がもたらした、血流増大のドラマでした。


血圧94/55。
体温37度。

夕食前の検温記録です。



☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ( … 続く ) ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



◆ 茨城県診療センターにて ④ ◆

「茨城県診療センターにて」




☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



週末、榮治さんの長男・りゅう君(小4)が、
おばあちゃんに連れられ、父親を見舞いに来ました。

「パパ……大丈夫?」

カーテンの隙間からそっと顔を覗かせたりゅう君。
上野から特急「スーパーひたち」に、
水戸駅からタクシーに乗り継いでの対面です。


喉からチューブを差し込まれ、
音声が途切れたまま横たわる父親の姿。

「痛いの?」

問い掛けよりも先に手が伸び、
病床の父親としっかりハイタッチ。

二人の目尻にしずくが光ります。

榮治さんが、もどかしげにつかんだボード。
パパが書いたフレーズは「ごめんな」でした。

続いて、「遊べなくてごめんな」とも。

ボードの上に、二人の思いがぎゅっと詰まり、
父と息子のこまやかな情愛が流れました。

見ていた俊爺は「男同士だなぁ~」。


りゅう君が帰ったあと、
唇の動きを頼りに、栄治さんと話しをしました。

「栄治さんの趣味は何ですか?」

 「ギターです。」

「クラシックギターですか?」

 「いえ、ロックです。」

「青春デンデケデケデケ……の方?」

 「そうです。」

聞けば、20代の頃、
仲間とともにロックバンドを結成、
「パンク・榮治」の名を関東全域に響かせていたとのこと。

打ち込み方は半端じゃありません。
現夫人とは、バンド活動を通じて結ばれました。

「どうりで指が細くて長いですね。
 西海岸からのパンクロックですか?」

 「はい。」

ふと思いついて、提案しました。

「1年か2年……みっちりリハビリに励んで、
 全快記念コンサートを開きませんか?」

 「…………。」

「家族と親しい人だけの演奏会。
 その時は私も呼んでください。」

 「…………。」

栄治さんの左手が目頭を覆い、
顎がうんうんと頷いていました。

青春の日々が蘇り、心が動いている。
手応え十分を感じました。





☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ( … 続く ) ☆ ☆ ☆ ☆ ☆







◆ 茨城県診療センターにて ⑤ ◆

「茨城県診療センターにて」




☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



翌日午後 ――― 。

俊爺は、思わずハッとしました。

栄治さんの腕に、明らかな生色が戻って来たのです。

筋力が落ち、血の気が失せ、
まるで蒼白い棒のような、マヒしたままの右腕。

妻 笙子さんはパットを肘と手首にあてがい、
「AWG」照射を続け、今日で6日目に入りました。


マヒはいっこうに変わりません。
しかし、取材初日とは腕の色が違って見えるのです。

肘関節のあたりが淡いピンク色を帯び、
白いままの手首が汗ばみ、
気のせいか、皮膚に艶が出ています。


昨日の取材後、
それまで病床で試みていた右腕の曲げ伸ばし運動に、
いっそうの弾みがついた。
それが艶の原因らしい。
どうやら「全快記念コンサート」の会話が、テコになったようです。


「ギターの演奏など、何一つ経験のない男だけど……。」

栄治さんに、声を掛けました。

「いま持っているギター演奏のCDは、たった二枚です。
 1枚はクロード・チアリというフランスのギタリスト。
 もう1枚はたしかセゴビアとかいう、南米のギタリストのものです。」

栄治さんの唇が動き、

 「クロード・チアリは『禁じられた遊び』ですか?」

「そうです。
 冴え渡った音色が玉となり、
 神経の上をころころと転がっていくような。」

 「きれいな演奏です。
  セゴビアはどうですか?」

「ギター演奏というよりは、
 命の根源が、弦に乗って迫ってくるって感じですねぇ。」

 「たしか南米の、森の歌か何かの演奏でした。」

「チアリはピュアで繊細でキラキラ輝く水晶の首飾り。
 セゴビアは縄文土器のような素朴などっしり感……
 音痴のいうことだから、やぶにらみの感想です。」

栄治さんの頬がゆるみ、
 「チアリは幅広いファンに愛されました。」

俊爺が応じます。
「そりゃあ、俺でも耳を傾けるんだから。」

 「ミュージシャンが愛されるためには、純粋さが必要なのです。」


ギターという楽器を軸に、心が通い合う。
会話が佳境に入ったところで、
ベテランのナース2人が入室、「呼吸器とシーツを交換します」。

喉のチューブが外され、てきぱきと作業が始まります。

「あら、100だわ!すてきじゃないの。」とナースの1人。

「何が100なんですか?」と声を掛けると、
「血液中に溶け込んでいる酸素の代謝効率です。」

人工呼吸器のモニター数値だとか。


今度はナースからの問いです。

 「毎日、興味津々で見ているんですが、この、
  パットをあてがっている器具、どういう原理の器具ですか?」

「気になりますか?」

 「便通も、血色も、食欲も好転し、
  除去する痰の色も量も正常。
  きっとこの器具が好転現象と関係しているのよ、と
  ナースの間で話題になっているんですよ。」


俊爺、
「看護婦さん、3分だけ聞く耳をくださいな。」
思い切って声を掛けました。

「『AWG』は、『人はなぜ、病気になるのか』って。
 そこから話しがスタートします。
 人体の細胞が+-の電荷バランスを崩すと、
 その細胞が劣化し痛んできて、
 病気の原因となるんではないか……
 こういう話しです。』

 「へぇ……
  じゃあ、細胞や細胞核はなぜ劣化するの?」

ナースは急所を突いて来ます。

以下は俊爺の説明 ――― 。

遺伝子や細胞や細胞核を、さらに細かく見ていくと、
窒素だの酸素だのという元素。

されにそれを100億分の1レベルで細かく見ると、
原子核と電子に行き着く。

人体内のあらゆる細胞が、他のあらゆる物質と同じように、
原子核と電子から成り立っている。
原子核はプラス電気を帯び、
電子はマイナスの電気を帯びている。

「これは宇宙全体、全物質をつらぬく荷電秩序なんです。
 人体も例外ではありません。」

 「人体の陰・陽という考え方ね。
  看護学校でチラッと教わったけど。」

ナースの1人が相づちを打ってくれます。

「ところが、宇宙船や放射線の影響とかで、
 人体中に、原子核もプラス帯電、
 電子もプラス帯電という異常荷電の部位(細胞)が生まれる。

 これが万病を引き起こしていると、
 器具の発明者たちは考えました。」

俊爺の説明は、一気にゴールへと進みます。

「そこで、原子核も電子もプラス荷電となっている異常細胞に、
 マイナス荷電の電子の束を浴びせれば、
 バランスを取り戻して、異常細胞が死滅、
 人体は健康に戻るのではないかとの問題意識から、
 人体実験が繰り返され、生まれたのがこの『AWG』なのです。」

 「へぇ~、ちんぷんかんぷんだけど、
  本当だとすると、凄い器具ね。
  あなたは、どういう方なんですか?」

「取材者です。
 『AWG』の器具のまわりで、何が起きているか。
 それを調べて、原稿を書いています。」

 「あら、ご苦労様。
  メーカーから頼まれて?」

「いえ、個人的な興味からです。」

 「難しい話がすきなのね。物書きさんって。」

パッパッパッと一連の手順をこなしながら、
俊爺の説明にそつなく相づちを打ち、
ナースたちは隣の病床に向かいました。
彼女たちは大忙しなのです。


本日の取材のあと、
妻 笙子さんから連絡が入りました。

「主人と相談して、
 『AWG』のスーパードクター型を購入することにしました。」




☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ( … 続く ) ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



プロフィール

俊成 正樹

Author:俊成 正樹
1936年生まれ。大阪市出身。
中央官庁(現・国土交通省)勤務を経て、社会派ジャーナリストとして独立。松本清張、森村誠一など有名作家との共同作業に参画、取材・調査に活躍。
1981年より「水」問題に取り組み、元日本陸軍の保有していた防疫給水技術調査のためアメリカ、イギリス、中国、ロシアなど各国を取材。各地の水資源問題に精通。
著書に『日本から水がなくなる日』(2009年)、『学校では教えない商売・お金・運開き』(2009年)、『水道管の叫び』(共著、2010年、以上中経出版刊)ほか多数。

アクセスランキング
[ジャンルランキング]
ヘルス・ダイエット
577位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
その他
113位
アクセスランキングを見る>>
カテゴリ
月別アーカイブ
最新記事
RSSリンクの表示
リンク
QRコード
QR
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。