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◆ 世界最高記録 ― 誠の奇蹟 ⑦ ◆

「世界最高記録 ―― 誠の奇蹟」 続きです。



☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


3月に入って3週目。
M記者から、深夜の電話を受けました。

しばらくぶりの電話。
元厚生記者クラブのメンバーで、
いま遊軍で「暮らしと健康」分野を担当している。

若いが、薬事法、医師法などの医療法規を読み通した勉強家です。


「あのですね。
フリーアクセスは限界にきているって、俊成さん本当ですか?」

深夜の通電。
通話は、いつもこんな調子で始まります。
ははぁ~、何かスクープ種を触っているな……と察知します。

 「それって、大学病院の待合室がどこも満杯って話か?」

「ご明察。
 ごく普通のカゼの患者が、町医者やクリニックではなく、大学病院に行く。
 だから、国民医療費が膨張するという議論です。」

 「そりゃ大学病院は、検査、複数科目受診、
入院・手術・治療の受け入れ体制が整っているから、
  診療点数の高くなるのは道理だ。」

「現行のフリーアクセス制度に問題がある。
 この際、制度を見直そうって議論があるんですが、どう思いますか?」


健康保険証1枚と初診料さえ持てば、診療所・クリニックであれ、
大学病院であれ、患者がみずから医療機関を選択し、受診出来る。

これを「フリーアクセス」と言い、日本が世界を誇る国民皆保険の「柱」となっています。


「フリーアクセス見直し論を、ぶっているのは誰だい?」

「あれですよ。
 『社会保障と税の一体改革』国連法案が国会を通ったでしょ。」

 「あぁ、それで……
  社会保障制度改革国民会議のメンバーか。
  まさか……
  フリーアクセスを崩すために、大学病院に通院する患者から、
  スペシャル料金を取ろうってことじゃないだろうね。」

冗談半分に言った言葉が、M記者にはショックだったようです。


「スペシャル料金のこと……
 誰から聞きました?」

 「誰からも聞いてないよ……
  医療に『松・竹・梅』の選別コースをつくろうって発想は、
  30年も前からあるよ。」

言いかけて、ハッとしました。

 「Mさん、あなたつかんだな。」

「い、いえいえ。
 そういうことじゃないんで。」

 「じゃ、どういうことなんだ?」

「参ったなぁ……。」

M記者の声が小さくなりました。

「スペシャル料金上乗せという構想ですよ。
 あくまで1つの構想というか、考え方が……。」

 「厚生省内部に浮上してきたのか。」

「まぁ、そういうことです。」


イチゲンの患者に、スペシャル料金を上乗せすることで、
「払える患者」と「払えない患者」をふるい分け、
大学病院の門戸を閉ざそうという構想。

スペシャルを払えないマルビの患者には、
高度検査、高度手術、新薬お断りとし、医療費の膨張を抑えようという構想。

『社会保障と税の一体改革』というくらい川底から、
プワー切り捨て構想の真っ黒な泡が、ポッコリモッコリと浮上します。


 「内部資料をつかんだのか。」

「いや、そんなことじゃないです。」

 「まぁいいから。
  つかんだからには、よく調べて書いてくださいよ。」


この時 ――
誠さん(72歳)と、その家族のことが胸をよぎりました。

先進医療で知られる大病院で、
がんマーカー検査値 1,228,000を記録した人が。



☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ( … 続く ) ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



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◆ 世界最高記録 ― 誠の奇蹟 ⑧ ◆

「世界最高記録 ―― 誠の奇蹟」 続きです。



☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


3月24日(日) 夕刻。

ふと気になり、誠さん(72歳)宅に電話を入れました。
娘の直美さん(40歳)が電話口に。


「その後、いかがですか?」

 「はい……あの……。」

電話口の向こうに短い沈黙がありました。

 「ちょっとお待ち下さい、母と代わりますから。」

その一言にどどどっと、胸が騒ぎました。

妻 雅子さんの声が耳に飛び込んできます。

 「俊成先生、じつは……
  残念なことに……
  主人は2週間前に死亡いたしました。」

「えっ!!」

 「前々から、肝臓が腫れ上がって、胃袋にくっついているような、
  危険な状態であるとは病院の検査の先生から聞かされていました。」

それにいよいよ頂点に達し、
がん組織が胃袋に穴を開けたような症状で、臨終を迎えましたと、雅子さん。

死の5日前、誠さんは妻と娘を呼び、
自分の葬儀手順につき、こまごまと希望を伝えたといいます。

お寺さんや親戚一同への気配り、会葬お礼、墓石の手配にいたるまで
こまごまと話してくれました、と雅子さんは言い、
「本人の覚悟は出来ていたようです。」と言葉を継ぎ、
「夫婦になってから、いちばんしみじみと語り合った1日でした。」

あとは、涙につまり、声になりません。


どもりながらお悔やみを言う私に、雅子さんは告げました。

「でもねぇ……
 おだやかな安らかな死に顔でしたよ。
 手遅れの状態で出会ったAWGでしたけど、毎日かけ続けて、
 手術直後のような痛みに苦しむってことはなかったです。
 
 臨終の床で、最後の5日間を、いつも頬笑んで
 『ありがとう』『ありがとう』とつぶやいて……
 眠るように逝きました。
 
 こればかりは、AWGのおかげ様だったと、感謝しています。」


そうか……
命の間際のおだやかな頬笑み。

もらい泣きしながら、電話を終えました。


1,222,800。

誠さんが生きている証として背負った、
がんマーカー世界最高数値記録。

余命を2年以上も引き延ばし、闘い抜いた男。

眠るような頬笑みで、自らの最後を飾った誠さん。
合掌。




☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


◆ 茨城県診療センターにて ① ◆

「茨城県診療センターにて」




☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



夫(榮治さん・41歳)へのAWG照射を始めます……
と妻の笙子さん(37歳)から連絡が入ったのは、5月下旬でした。

榮治さんは、さるマガジン(雑誌)出版社の営業マン。
出張先の水戸市で倒れたのは、今年1月もまだ松の内。

顧客接待中の出来事でした。


飲酒中、トイレに行ったっきり戻ってこないので、
見に行くとタイルに頭をぶつけて転倒したのか、
榮治さんの頭皮が破れ、傷口から出血していました。

手を貸すと、
「すみません。」と意思表示があって、起き上がった。


「単に頭を打っただけのようです。」

ふらつきながらも気丈に立ち上がった榮治さん。
自力歩行でトイレから出ました。

じつは頭蓋が割れ、
硬膜外出血していた
のですが、
気づく者がいないまま、ひとまず大事を取り、ホテルに戻りました。


異変が発覚したのは、翌朝でした。

電話への応答がなく、同僚が部屋に入ってみると、
榮治さんは意識不明の昏睡状態でした。

救急車でセンターに搬送された榮治さん。
脳外科専門医の診断は
『脳内ヘルニアからの起因による脳梗塞』。


緊急開頭手術を終え、
「脳内の出血は出来るだけていねいに、取り除いておきました。」
と担当医師。

来院が遅すぎた、
転倒直後の搬送なら軽度の症状で済んだのに……
と残念な表情でした。


かけつけた家族の前に
人工呼吸器をつけたまま
ベッドに横たわっている
榮治さんの姿がありました。

重度の右半身マヒです。



☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ( … 続く ) ☆ ☆ ☆ ☆ ☆





プロフィール

俊成 正樹

Author:俊成 正樹
1936年生まれ。大阪市出身。
中央官庁(現・国土交通省)勤務を経て、社会派ジャーナリストとして独立。松本清張、森村誠一など有名作家との共同作業に参画、取材・調査に活躍。
1981年より「水」問題に取り組み、元日本陸軍の保有していた防疫給水技術調査のためアメリカ、イギリス、中国、ロシアなど各国を取材。各地の水資源問題に精通。
著書に『日本から水がなくなる日』(2009年)、『学校では教えない商売・お金・運開き』(2009年)、『水道管の叫び』(共著、2010年、以上中経出版刊)ほか多数。

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