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◆ 健三さん奮戦記 ② ◆

「健三さん奮戦記」 続きです。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


動転する夫妻を前に、若い担当医は、即入院の必要と入院後の対症療法として
「肝門部放射線治療」と「リバーザー動注」を告げました。

放射線治療と抗がん剤の動脈への注入です。

「抗がん剤というのは、薬であると同時に、毒でもあるのです。」
若いドクターはていねいに療法について説明しました。


注入すれば、確実に肝臓がんを抑制する効果がある。
しかし、問題は他の臓器 ――

脾臓、腎臓などに抗がん剤の影響がおよび、副作用が発生する。
脱力感、嘔吐、体重減少、ひっきりなしの疼痛など、副作用との闘いはきつい。

「また……この抗がん剤は、肺に転移したがん細胞には効かないのです。」

ドクターは冷静な口調で、恐ろしい真実を告げました。

「こうした抗がん剤を用いてがん細胞を叩いても、
 延命は年内いっぱいだと思われます。」


打ちのめされて病院をあとにした健三・共子夫妻に
その夜、親戚の1人から連絡が入りました。

「浜松市内の知人に、ふしぎな医療器具を開発した男がいる。
 切らず、薬ナシ、放射線ナシで難病の症状が改善される、と男は言っている。
 どんなものかは分からないが、訪ねてみればどうか。」


教えられた浜松市内東三方の「A社」に車で駆けつけてみると、
駐車場に等身大の、牛とブタの部位をつなぎ合わせた
金属製の看板がぶら下がっていました。

共子さんは思いました。

「これは……
 獣医さんじゃないの。
 あぁ、おとうさんはダメかもしれない。」


獣医は獣の治療が専門。
末期の肝がんから、夫を救い出せるはずがない。


社内で応対した男は70代はじめ。
黒めがねを掛けていました。

彼は「医学博士 松浦 優之」と名乗りました。
夫妻の話に耳を傾け、事態の深刻さを十分察知したようすでした。

話を聞き終わり、ややの沈黙あって
「ボクが症状を変えてあげるから、一緒にがんばりましょう。」
響きのある大きな声でした。

それがたんなる気休めなのか、
それとも心底からの確信あってのものか、
夫妻には聞き分けがつきませんでした。


松浦は、みずから改良工夫したという器具を見せ、使用方法を説明しました。
首筋の真上と腰ベルトあたりの中央に、専用のパットを貼り付ける。
器具のスイッチを入れ、刺激の強度と時間を自分で調節するのだと。


言われるとおりその場で約2時間。
「AWG」原理で動くという器具を使ってみて、健三さんはふしぎな感覚に陥りました。

身体の深奥部から細胞のつぶつぶを直に撫でられるような、
骨髄や血管を通し、ある種の粒子が振動する波となって侵入してくるような……。



☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ( … 続く ) ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



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プロフィール

俊成 正樹

Author:俊成 正樹
1936年生まれ。大阪市出身。
中央官庁(現・国土交通省)勤務を経て、社会派ジャーナリストとして独立。松本清張、森村誠一など有名作家との共同作業に参画、取材・調査に活躍。
1981年より「水」問題に取り組み、元日本陸軍の保有していた防疫給水技術調査のためアメリカ、イギリス、中国、ロシアなど各国を取材。各地の水資源問題に精通。
著書に『日本から水がなくなる日』(2009年)、『学校では教えない商売・お金・運開き』(2009年)、『水道管の叫び』(共著、2010年、以上中経出版刊)ほか多数。

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