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◆ 世界最高記録 ― 誠の奇蹟 ⑧ ◆

「世界最高記録 ―― 誠の奇蹟」 続きです。



☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


3月24日(日) 夕刻。

ふと気になり、誠さん(72歳)宅に電話を入れました。
娘の直美さん(40歳)が電話口に。


「その後、いかがですか?」

 「はい……あの……。」

電話口の向こうに短い沈黙がありました。

 「ちょっとお待ち下さい、母と代わりますから。」

その一言にどどどっと、胸が騒ぎました。

妻 雅子さんの声が耳に飛び込んできます。

 「俊成先生、じつは……
  残念なことに……
  主人は2週間前に死亡いたしました。」

「えっ!!」

 「前々から、肝臓が腫れ上がって、胃袋にくっついているような、
  危険な状態であるとは病院の検査の先生から聞かされていました。」

それにいよいよ頂点に達し、
がん組織が胃袋に穴を開けたような症状で、臨終を迎えましたと、雅子さん。

死の5日前、誠さんは妻と娘を呼び、
自分の葬儀手順につき、こまごまと希望を伝えたといいます。

お寺さんや親戚一同への気配り、会葬お礼、墓石の手配にいたるまで
こまごまと話してくれました、と雅子さんは言い、
「本人の覚悟は出来ていたようです。」と言葉を継ぎ、
「夫婦になってから、いちばんしみじみと語り合った1日でした。」

あとは、涙につまり、声になりません。


どもりながらお悔やみを言う私に、雅子さんは告げました。

「でもねぇ……
 おだやかな安らかな死に顔でしたよ。
 手遅れの状態で出会ったAWGでしたけど、毎日かけ続けて、
 手術直後のような痛みに苦しむってことはなかったです。
 
 臨終の床で、最後の5日間を、いつも頬笑んで
 『ありがとう』『ありがとう』とつぶやいて……
 眠るように逝きました。
 
 こればかりは、AWGのおかげ様だったと、感謝しています。」


そうか……
命の間際のおだやかな頬笑み。

もらい泣きしながら、電話を終えました。


1,222,800。

誠さんが生きている証として背負った、
がんマーカー世界最高数値記録。

余命を2年以上も引き延ばし、闘い抜いた男。

眠るような頬笑みで、自らの最後を飾った誠さん。
合掌。




☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


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プロフィール

俊成 正樹

Author:俊成 正樹
1936年生まれ。大阪市出身。
中央官庁(現・国土交通省)勤務を経て、社会派ジャーナリストとして独立。松本清張、森村誠一など有名作家との共同作業に参画、取材・調査に活躍。
1981年より「水」問題に取り組み、元日本陸軍の保有していた防疫給水技術調査のためアメリカ、イギリス、中国、ロシアなど各国を取材。各地の水資源問題に精通。
著書に『日本から水がなくなる日』(2009年)、『学校では教えない商売・お金・運開き』(2009年)、『水道管の叫び』(共著、2010年、以上中経出版刊)ほか多数。

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