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◆ 茨城県診療センターにて ④ ◆

「茨城県診療センターにて」




☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



週末、榮治さんの長男・りゅう君(小4)が、
おばあちゃんに連れられ、父親を見舞いに来ました。

「パパ……大丈夫?」

カーテンの隙間からそっと顔を覗かせたりゅう君。
上野から特急「スーパーひたち」に、
水戸駅からタクシーに乗り継いでの対面です。


喉からチューブを差し込まれ、
音声が途切れたまま横たわる父親の姿。

「痛いの?」

問い掛けよりも先に手が伸び、
病床の父親としっかりハイタッチ。

二人の目尻にしずくが光ります。

榮治さんが、もどかしげにつかんだボード。
パパが書いたフレーズは「ごめんな」でした。

続いて、「遊べなくてごめんな」とも。

ボードの上に、二人の思いがぎゅっと詰まり、
父と息子のこまやかな情愛が流れました。

見ていた俊爺は「男同士だなぁ~」。


りゅう君が帰ったあと、
唇の動きを頼りに、栄治さんと話しをしました。

「栄治さんの趣味は何ですか?」

 「ギターです。」

「クラシックギターですか?」

 「いえ、ロックです。」

「青春デンデケデケデケ……の方?」

 「そうです。」

聞けば、20代の頃、
仲間とともにロックバンドを結成、
「パンク・榮治」の名を関東全域に響かせていたとのこと。

打ち込み方は半端じゃありません。
現夫人とは、バンド活動を通じて結ばれました。

「どうりで指が細くて長いですね。
 西海岸からのパンクロックですか?」

 「はい。」

ふと思いついて、提案しました。

「1年か2年……みっちりリハビリに励んで、
 全快記念コンサートを開きませんか?」

 「…………。」

「家族と親しい人だけの演奏会。
 その時は私も呼んでください。」

 「…………。」

栄治さんの左手が目頭を覆い、
顎がうんうんと頷いていました。

青春の日々が蘇り、心が動いている。
手応え十分を感じました。





☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ( … 続く ) ☆ ☆ ☆ ☆ ☆







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プロフィール

俊成 正樹

Author:俊成 正樹
1936年生まれ。大阪市出身。
中央官庁(現・国土交通省)勤務を経て、社会派ジャーナリストとして独立。松本清張、森村誠一など有名作家との共同作業に参画、取材・調査に活躍。
1981年より「水」問題に取り組み、元日本陸軍の保有していた防疫給水技術調査のためアメリカ、イギリス、中国、ロシアなど各国を取材。各地の水資源問題に精通。
著書に『日本から水がなくなる日』(2009年)、『学校では教えない商売・お金・運開き』(2009年)、『水道管の叫び』(共著、2010年、以上中経出版刊)ほか多数。

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