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◆ 茨城県診療センターにて ⑤ ◆

「茨城県診療センターにて」




☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



翌日午後 ――― 。

俊爺は、思わずハッとしました。

栄治さんの腕に、明らかな生色が戻って来たのです。

筋力が落ち、血の気が失せ、
まるで蒼白い棒のような、マヒしたままの右腕。

妻 笙子さんはパットを肘と手首にあてがい、
「AWG」照射を続け、今日で6日目に入りました。


マヒはいっこうに変わりません。
しかし、取材初日とは腕の色が違って見えるのです。

肘関節のあたりが淡いピンク色を帯び、
白いままの手首が汗ばみ、
気のせいか、皮膚に艶が出ています。


昨日の取材後、
それまで病床で試みていた右腕の曲げ伸ばし運動に、
いっそうの弾みがついた。
それが艶の原因らしい。
どうやら「全快記念コンサート」の会話が、テコになったようです。


「ギターの演奏など、何一つ経験のない男だけど……。」

栄治さんに、声を掛けました。

「いま持っているギター演奏のCDは、たった二枚です。
 1枚はクロード・チアリというフランスのギタリスト。
 もう1枚はたしかセゴビアとかいう、南米のギタリストのものです。」

栄治さんの唇が動き、

 「クロード・チアリは『禁じられた遊び』ですか?」

「そうです。
 冴え渡った音色が玉となり、
 神経の上をころころと転がっていくような。」

 「きれいな演奏です。
  セゴビアはどうですか?」

「ギター演奏というよりは、
 命の根源が、弦に乗って迫ってくるって感じですねぇ。」

 「たしか南米の、森の歌か何かの演奏でした。」

「チアリはピュアで繊細でキラキラ輝く水晶の首飾り。
 セゴビアは縄文土器のような素朴などっしり感……
 音痴のいうことだから、やぶにらみの感想です。」

栄治さんの頬がゆるみ、
 「チアリは幅広いファンに愛されました。」

俊爺が応じます。
「そりゃあ、俺でも耳を傾けるんだから。」

 「ミュージシャンが愛されるためには、純粋さが必要なのです。」


ギターという楽器を軸に、心が通い合う。
会話が佳境に入ったところで、
ベテランのナース2人が入室、「呼吸器とシーツを交換します」。

喉のチューブが外され、てきぱきと作業が始まります。

「あら、100だわ!すてきじゃないの。」とナースの1人。

「何が100なんですか?」と声を掛けると、
「血液中に溶け込んでいる酸素の代謝効率です。」

人工呼吸器のモニター数値だとか。


今度はナースからの問いです。

 「毎日、興味津々で見ているんですが、この、
  パットをあてがっている器具、どういう原理の器具ですか?」

「気になりますか?」

 「便通も、血色も、食欲も好転し、
  除去する痰の色も量も正常。
  きっとこの器具が好転現象と関係しているのよ、と
  ナースの間で話題になっているんですよ。」


俊爺、
「看護婦さん、3分だけ聞く耳をくださいな。」
思い切って声を掛けました。

「『AWG』は、『人はなぜ、病気になるのか』って。
 そこから話しがスタートします。
 人体の細胞が+-の電荷バランスを崩すと、
 その細胞が劣化し痛んできて、
 病気の原因となるんではないか……
 こういう話しです。』

 「へぇ……
  じゃあ、細胞や細胞核はなぜ劣化するの?」

ナースは急所を突いて来ます。

以下は俊爺の説明 ――― 。

遺伝子や細胞や細胞核を、さらに細かく見ていくと、
窒素だの酸素だのという元素。

されにそれを100億分の1レベルで細かく見ると、
原子核と電子に行き着く。

人体内のあらゆる細胞が、他のあらゆる物質と同じように、
原子核と電子から成り立っている。
原子核はプラス電気を帯び、
電子はマイナスの電気を帯びている。

「これは宇宙全体、全物質をつらぬく荷電秩序なんです。
 人体も例外ではありません。」

 「人体の陰・陽という考え方ね。
  看護学校でチラッと教わったけど。」

ナースの1人が相づちを打ってくれます。

「ところが、宇宙船や放射線の影響とかで、
 人体中に、原子核もプラス帯電、
 電子もプラス帯電という異常荷電の部位(細胞)が生まれる。

 これが万病を引き起こしていると、
 器具の発明者たちは考えました。」

俊爺の説明は、一気にゴールへと進みます。

「そこで、原子核も電子もプラス荷電となっている異常細胞に、
 マイナス荷電の電子の束を浴びせれば、
 バランスを取り戻して、異常細胞が死滅、
 人体は健康に戻るのではないかとの問題意識から、
 人体実験が繰り返され、生まれたのがこの『AWG』なのです。」

 「へぇ~、ちんぷんかんぷんだけど、
  本当だとすると、凄い器具ね。
  あなたは、どういう方なんですか?」

「取材者です。
 『AWG』の器具のまわりで、何が起きているか。
 それを調べて、原稿を書いています。」

 「あら、ご苦労様。
  メーカーから頼まれて?」

「いえ、個人的な興味からです。」

 「難しい話がすきなのね。物書きさんって。」

パッパッパッと一連の手順をこなしながら、
俊爺の説明にそつなく相づちを打ち、
ナースたちは隣の病床に向かいました。
彼女たちは大忙しなのです。


本日の取材のあと、
妻 笙子さんから連絡が入りました。

「主人と相談して、
 『AWG』のスーパードクター型を購入することにしました。」




☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ( … 続く ) ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



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プロフィール

俊成 正樹

Author:俊成 正樹
1936年生まれ。大阪市出身。
中央官庁(現・国土交通省)勤務を経て、社会派ジャーナリストとして独立。松本清張、森村誠一など有名作家との共同作業に参画、取材・調査に活躍。
1981年より「水」問題に取り組み、元日本陸軍の保有していた防疫給水技術調査のためアメリカ、イギリス、中国、ロシアなど各国を取材。各地の水資源問題に精通。
著書に『日本から水がなくなる日』(2009年)、『学校では教えない商売・お金・運開き』(2009年)、『水道管の叫び』(共著、2010年、以上中経出版刊)ほか多数。

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